今回は先天性股関節亜脱臼で、しゃがめない。しゃがむと立てない。下半身に力が入りにくい。
と言う方(Kさん 59歳・女性)の症例を書いて行きます。
結果を先にいますと、Kさんは初回の施術でしゃがみやすくなり、下半身に力が入り感じが出てきた、と言う変化がありました。
それでは今回は、
Kさんの身体の状態はどうなっていたのか?
について書いて行きます。
関節の付き方は、筋肉のバランスが影響している?
Kさんは生まれつきの股関節亜脱臼ということです。
既往歴
・右股関節は「先天性股関節脱臼」と言われた。
・腰椎分離すべり症と診断(中学の時)
・右足の痺れと痛みで歩けなくなった(6年ほど前)
・右膝に痛みと腫れが出て水が溜まったので抜いた(2021年夏ごろ)
検査をすると・・・
まず立ってもらうと下肢がX脚になっていました。
後屈(上半身を後ろに反らす)時に腰周りに痛みが出る。
前屈は比較的できました。
足の筋力・・・両足ともかなり力が入りにくい(特に患側の右足が弱い)。
股関節の動き(可動域)を確認すると、
右・・・内旋過剰(内股の方向に行き過ぎる)で外旋制限(ガニ股の方向に行かない)。
左・・・内旋、外旋ともに動きがロック(途中で止まる)する。
足首・・・左右とも内側(親指側)に入りにくい(内転制限)。
足指・・・親指側が弱い
こられから考えられるのは、股関節(腰)を支えている筋肉と共に、足先までの筋肉の働き方がアンバランスである、ということです。
Kさんは生まれつきの股関節亜脱臼ですが、生まれてくる過程で何かしらの原因で股関節の嵌まり方がずれて、その状態で固定されてしまったのかも知れません。
筋肉の付き方のアンバランスと股関節の嵌まり方のズレと。
どちらが先かは分かりませんが、言えることは股関節を支える筋肉の状態がアンバランスになっていると言うことです。
関節を支え合う2つの筋肉、片方が弱るともう片方が頑張り過ぎる
ここでは症状が出ている股関節(腰)を支えている筋肉について書いて行きます。
前側・・・腸腰筋(大腰筋+腸骨筋) →働くと「腰が丸くなる、がに股」になる
後ろ側・・・多裂筋・腹横筋 →働くと「反り腰、内股」になる
です。
Kさんの場合は、腸腰筋が弱っている為に、それを庇って、
多裂筋・腹横筋が過剰に働く状態になっていると考えられます(→反り腰、内股)。
どうでしょうか。
腰を反って股関節を内に入れると、膝は伸びて、またX脚のようになりませんか?
(ガニ股では腰は反らしにくいですよね?)
その股関節を開く(ガニ股にする)筋肉が腸腰筋なのです。
その腸腰筋がKさんは極端に弱っているということです。
痛み、姿勢の背景には筋肉の働きのバランスが関わっているのです。
Kさんのように生まれつき股関節の嵌まり方が良くない方も、筋肉のアンバランスを改善させることで症状が良くなる可能性があるのです。